【風雲児新田義貞 1】

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序章
背景:
長期安定政権というものはいつの時代においても腐敗をまねくもので、鎌倉幕府も御多分にもれず、贈賄、収賄の金権政治にあけくれ新時代のスーパースターの登場を待ち望む空気が満ち溢れておりました。
そこに登場する4人の男達。後醍醐天皇(ごだいごてんのう)、足利尊氏(あしかがたかうじ)、楠木正成(くすのきまさしげ)、そしてわれらがヒーロー新田義貞(にったよしさだ)。かれらこそ南北朝の戦乱に登場する主役達です。
蒙古来襲による国力低下がたたってか、いまや鎌倉幕府の支持率低下ははなはだしく、内閣改造程度ではおさまらなくなっています。
火ぶた:
1324年および1331年「後醍醐天皇御謀反」。ん?学校では正中の変、元弘の変、というのかな?
さあとにかく戦乱の世の幕開けです。二度も後醍醐天皇の倒幕計画が発覚した以上戦闘は避けられません。後鳥羽上皇の承久の乱いらいの公家対武家の戦闘。公家の世よもう一度。夢ふくらむ後醍醐天皇に鎌倉幕府は総力戦で臨みます。
楠木正成登場:
笠置寺にこもる天皇方。北条の大軍でかこむ幕府側。このときすい星のごとくあらわれた英雄がひとり。そののち戦乱の主役のひとりとして活躍する男。河内国赤坂の土着武士、楠木正成でした。正成は天皇軍を後方支援すべく赤坂城にて突如たちあがり、幕府の大軍相手に奮戦しました。およそ1か月におよぶ戦闘の結果、しかし無念にも後醍醐天皇軍はやぶれ、隠岐島へ島流し。楠木正成は城を脱出し山中へ逃げ落ちました。一時これで乱はおさまったかのようにおもわれたのです。
が、しかし。ここからが楠木正成の本領発揮です。赤坂城よりなお奥の金剛山は千早城に陣取っての山岳ゲリラ戦が開始されました。攻める幕府軍総勢百万。守る城兵はただの千人。土着武士の地の利を生かした奇襲戦法で楠木正成軍は幕府軍総力をあげての攻撃をかわして堂々四つの戦いをしたのです。幕府の威信がかかった戦いです。たかが千人のゲリラの前で退却は許されません。千早城にくぎづけになった幕府軍をみて各地で反政府運動が活発になりだします。これぞ楠木正成の狙い通りの動きです。山中でしのげばしのぐほど戦局は自軍に有利な方向へ向かっていきます。
この混乱のすきをついて隠岐島へ流されていた後醍醐天皇が島脱出を強行し、伯耆国(鳥取県)の船上山に地元の名和長年(なわ・ながとし)の協力を得て陣をとりました。
各地で倒幕派が動きます。播磨の赤松則村。伊予の土居道増。陸奥のほうからは結城宗広。後醍醐天皇とともに隠岐を脱出した公家の千種忠顕。
さあたいへん。どうする鎌倉幕府!!
著作:藤田敏夫(禁転載)

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尊氏足利尊氏